鼻汁の研究結果(5月26日~6月17日) vol.10
北里大学小児科との共同研究「臨床検体を用いた多種病原体解析(ウィルス・その他)」、通称「鼻水の研究」。
ご協力をいただきました方々、誠にありがとうございます。
研究結果報告も今回でvo.10となります。
5月26日~6月17日に当院で頂いた鼻汁検体の結果(全てPCR)は以下の通りです。
・ライノウィルス 24名
・ボカウィルス 13名
・アデノウィルス 7名
・RSウィルス 7名
・パラインフルエンザウィルス3型 5名
・パラインフルエンザウィルス4型 2名
・季節型コロナウィルス(OC43) 1名 (新型コロナウィルスではありません)
・パレコウィルス 1名
ライノ・ボカ・パラインフルエンザ・季節型コロナ・パレコなどは通常クリニック内で検査できないウィルスです。
*前回までにはみられていなかった「ライノウィルス」が半数以上の方にみられています。
ライノウィルスはあまり聞きなれない名前かもしれませんが、実はかぜを引き起こすウィルスの中で最も頻度が高いとされるウィルスです。
ライノ(Rhino)は「鼻」という語源があり、「鼻かぜウィルス」と言い換えることができます。
潜伏期間は2~4日、鼻閉・鼻汁・咽頭痛の症状がメインですが、30~40%の症例で咳と嗄声(声かれ)がみられます。
大人の方もかかりますが、小児の場合は中耳炎・副鼻腔炎や気管支炎・肺炎を合併しぜーぜーすることも非常に多いウィルスです。
通常ウィスル感染症には抗生剤は必要ありませんが、中耳炎・副鼻腔炎、気管支炎・肺炎などを合併した場合はウィルス+細菌の混合二次感染が考えられ抗生剤が必要になります。
ライノウィルス陽性の多くの方が抗生剤やステロイド内服加療を要しており、症状も非常に長引く傾向があります。
また目ヤニが多い方からもライノウィルスが検出されています。目ヤニを伴う感染症で有名なものはアデノウィルスですが、アデノ(クリニック内で検査可能)でなかった場合はライノウィルス感染症の可能性があると考えられます。
*また前回4~5月上旬と同様にボカウィルス、アデノウィルスも確認されています。
*パラインフルエンザウィルスは、インフルエンザウィルスとは異なる風邪ウィルスです。
*季節型コロナウィルスは新型コロナウィルスではない、以前から存在している風邪・コロナウィルスです。
*院内で検査当日にで結果をお伝えしている抗原検査の結果は含まれておりません。
*混合感染の場合は、お一人複数のウィルス感染としてカウントしております。
個別の結果については、今後受診された際に直接ご報告させていただいておりますが、早急に結果をご確認されたい方はお電話にてお問い合わせください。
過去の研究結果報告