鼻汁の研究結果(12月25日~1月26日)vol.18
北里大学小児科との共同研究「臨床検体を用いた多種病原体解析(ウィルス・その他)」、通称「鼻水の研究」。
当院での研究開始から現在までのべ600名以上の大変多くの方にご参加をいただいております。
簡単にいうと、、、
『かぜ』の正体を調べる研究です。
このような多くの方の研究ができているクリニックは日本全国をどこを探しても他にはないと思います。
ご協力をいただき、本当にありがとうございます。
研究参加のご希望がございましたら、診察時にどうぞ院長までお声がけください。
12月25日~1月26日に当院で頂いた鼻汁検体の結果(全てPCR検査)は以下の通りです。
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一方、院内で当日に結果をお伝えしている検査は全て『抗原』検査です。『抗原』検査の結果は下記データには反映されておりません。
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・アデノ 15名
・ライノ 14名
・RS 7名
・季節型コロナ 7名
・エンテロ 6名
・新型コロナ 2名
・インフルエンザA型(H3N2)1名
・パラインフルエンザ1型 1名
・ボカ 1名
*ライノ・エンテロ・季節型コロナ・パラインフルエンザ・ボカウィルスは通常の医療機関内では検査できない項目です。
*季節型コロナは2020年から流行した新型コロナとは異なる、それ以前から存在するコロナ感染症です。
再びのアデノとライノ流行中です。
前回まではほとんどみられてなかったエンテロウィルスやRS流行の兆しがみられています。
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【RSウィルス】
RSウィルスはかぜの原因ウィルスの一つで、赤ちゃんから大人も感染します。
特に乳幼児に多く、保育園や幼稚園通院中のお子さんはほぼすべてが感染します。一度かかっても免疫ができにくいため毎年のように何度もかかります。
RSにかからない人はいません。
大人の感染は鼻をすすったり、喉がちょっとイガイガする程度です。
しかし初めて感染した乳幼児は、最初は鼻汁や発熱、軽度の咳といったかぜ症状からはじまり、ウィルスが下気道まで入りこむと、細気管支炎や肺炎、ときに中耳炎を引き起こし、高熱の持続やゼイゼイとした激しい咳となります。
重症化し入院を必要とする場合のほとんどは6か月未満の乳児ですが、普段からゼイゼイしやすいお子さんは症状の程度が強く、経過も長くなります。
RSであるのか否かは、鼻汁をつかった診断キットで検査することができますが、1歳未満の方のみが保険診療の対象です。検査キット数に限りがあるため、当院では1歳以上の方の自費RS検査はおこなっていません。重症化しやすい1歳未満の乳児の方への保険診療のみを行っています。
RSウィルスはウィルスです。インフルエンザウィルスなどの特殊な一部のウィルスはタミフルなどの治療薬がありますが、RSウィルスに直接効く治療薬はありません。
咳の対して咳止め薬や、痰に対して痰切り薬などの対処療法となりますが、中耳炎や肺炎が合併している場合はウィルス+細菌感染が混合していることを考えて抗生剤を併用する場合があります。
重症化のサイン(こんなときはもう一度受診を!)
・呼吸が苦しそう・呼吸がはやい
・陥没呼吸(胸やおなかがべこべこへこむ呼吸)
・肩で呼吸している
・顔色がわるい
・咳がひどくて飲めない・寝れない・食べられない
登園について
熱が下がって元気で、ゼイゼイなどがなく、食事や睡眠が通常通りであれば登園は可能です。しかし初感染で下気道までしっかり炎症が及んでいる場合、咳がしっかり収まるまで1~2週間くらいかかることもあります。
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手洗いとうがいそして場面に応じたマスク着用、今一度徹底するようにしましょう!
個別の結果については、今後受診された際に直接ご報告させていただいておりますが、早急に結果をご確認されたい方はお電話にてお問い合わせください。
過去の研究結果報告