鼻汁の研究結果 vol.23 (2024年11月~2025年4月)■研究終了■
北里大学小児科との共同研究「臨床検体を用いた多種病原体解析(ウィルス・その他)」
通称「鼻水の研究」。簡単にいうと、『かぜ』の正体を調べる研究です。
2022年10月の当院の研究開始から約2年半の期間に
のべ『1,000名』の鼻汁をいただきました。
一施設のこんなに多くの数の解析ができましたのも皆様のご協力のおかげです。
現在解析中の鼻汁もございますが、予定の検体数に達しましたので本日で鼻汁の研究は終了とさせていただきます。
誠にありがとうございました。
集計させていただいた結果は、個人情報がわからない形で今後学会や論文などで発表をさせていただきたいと思います。
個別の結果については、今後受診された際に直接ご報告させていただきます。
vol.23 2024年11月30日~2025年4月16日に当院で頂いた鼻汁検体の結果(全てPCR検査)は以下の通りです。
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一方、院内で当日に結果をお伝えしている検査は全て『抗原』検査です。『抗原』検査の結果は下記データには反映されておりません。
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・RS 17名
・ヒトメタニューモ 16名
・季節型コロナ* 15名
・ライノ* 12名
・アデノ 9名
・エンテロ* 6名
・新型コロナ 4名
・ヒトボカ* 3名
・パラインフルエンザ4* 2名
・インフルエンザ 2名
・ヒトヘルペスウィルス6* 1名
・百日咳 1名
*季節型コロナ・ライノ・エンテロ・ヒトボカ・パラインフルエンザなどは通常の医療機関内では検査できない項目です。
今回の研究を通じて感じたことは
発熱や強い咳症状のある方はクリニックで何かしらの迅速抗原検査を陰性であり
「ただの風邪ですね」と説明させていただいている場合も
何かしらの名前のつくウィルスに感染していることが高いということです。
各鼻汁検体に対して20以上のウィルスをPCRを行い検査しております。
しかし全体の約2割の鼻汁検体については何のウィルスも検出されませんでした。
これは20種類ほどのウィルス以外の今回の研究項目にはなかったウィルスの感染症であったか
またはウィルスではなく細菌の感染症であったか
または寒暖差やハウスダストなどの環境による症状であったかではないかと思われます。
クリニック内で保険診療として検査(抗原)ができるウィルスはRS(1歳未満)、ヒトメタ(6歳未満)、インフル、新型コロナ、アデノのみに限られています。
今回の研究では明らかにそれ以外のライノやヒトボカ、季節型コロナ等の感染症数が大変多く、これらが「ただの風邪の原因ウィルスであろう」ということがよくわかりました。
おひとりで何度も研究にご協力いただいた方もいらっしゃいました。
重ね重ねになりますが、研究にご協力をいただき全ての皆様、本当にありがとうございました。
2022年10月以降の各期間のかぜの正体結果は下記のvol.1~vol.22の結果をご参照ください。
過去の研究結果報告
鼻汁の研究結果(2024年1月29日~3月27日) vol.19
鼻水の研究結果(2023年12月25日~2024年1月26日)vol.18
鼻汁の研究結果(2023年1月30日~3月11日)vol.6
