【まだライノ&アデノ流行】鼻汁の研究結果(10月30日~11月24日)vol.16
北里大学小児科との共同研究「臨床検体を用いた多種病原体解析(ウィルス・その他)」、通称「鼻水の研究」。
当院での研究開始から1年を経過し、現在までにのべ500名以上の大変多くの方にご参加をいただいております。
ご協力をいただき、誠にありがとうございます。
研究参加のご希望がございましたら、診察時にどうぞ院長までお声がけください。
10月30日~11月24日に当院で頂いた鼻汁検体の結果(全てPCR検査)は以下の通りです。
・【ライノ】 15名
・季節型コロナ 5名
・【アデノ】 5名
・エンテロ 3名
・【パラインフルエンザ】1型 2名
*ライノ・パレコ・エンテロ・パラインフルエンザ・季節型コロナなどのウィルスは通常の医療機関内では検査できない項目です。
*季節型コロナは2020年から流行した新型コロナとは異なる、それ以前から存在するコロナ感染症です。
【ライノウィルス】
前回から引き続き、まだまた【ライノウィルス】が流行しています。
インフルエンザや新型コロナを検査をしても陰性であった場合、ライノの可能性もあるかと思われます。
ライノウィルスは、かぜを引き起こすウィルスの中で最も頻度が高いとされるウィルスです。
ライノ(Rhino)は「鼻」という語源があり、「鼻かぜウィルス」と言い換えることができます。
潜伏期間は2~4日、鼻閉・鼻汁・咽頭痛の症状がメインですが、30~40%の症例で咳と嗄声(声かれ)がみられます。
大人の方もかかりますが、小児の場合は中耳炎・副鼻腔炎や気管支炎・肺炎を合併しぜーぜーすることも非常に多いウィルスです。
通常ウィスル感染症には抗生剤は必要ありませんが、中耳炎・副鼻腔炎、気管支炎・肺炎などを合併した場合はウィルス+細菌の混合二次感染が考えられ抗生剤が必要になります。
【アデノウィルス】
【アデノウィルス】はのどや目に炎症を起こすため、咽頭結膜熱とも言われています。また、一部のアデノウィルスは夏にプールで感染することもあるため、プール熱とも呼ばれています。
のどが赤くなって痛くなったり、扁桃に白っぽい膿のようなものがついたりもします。結膜炎が起きると目が赤くなり、目ヤニがでたりします。
ともに39度以上の高い熱がつづき、時に5日前後続く場合があります。ウィルス感染による風邪に直接効く薬はほとんどありませんが、アデノウィルスにも効く薬はありません。
処方されるいわゆるかぜ薬は、かぜによるいろいろな症状を和らげる薬です。
アデノウィルスがクリニックでも検査(抗原)することができますが、現在アデノの流行のため、クリニック内の検査キットが不足しており、検査できない場合があります。
もしアデノウィルスだとしても特別な治療薬はありません。「安静」と「水分補給」が大切です。
アデノウィルスと診断された場合には、とても感染力が強いため『症状が軽快した後、2日を経過』してからの登園・登校となります。
【パラインフルエンザウィルス】
名前が似ていますがいわゆるインフルエンザウィルスとは異なる『パラ』インフルエンザウィルス。
発熱、咳、鼻汁、ぜーぜーがみられます。ときに気管支炎・中耳炎を合併することも多いといわれる一般的なかぜウィルスの一つです。
1型から4型まであります。前回までは2型が確認されていましたが、今回は1型がみられています。
個別の結果については、今後受診された際に直接ご報告させていただいておりますが、早急に結果をご確認されたい方はお電話にてお問い合わせください。
過去の研究結果報告