【ライノ&インフルエンザ】 鼻汁の研究結果(9月29日~10月27日)vol.15
北里大学小児科との共同研究「臨床検体を用いた多種病原体解析(ウィルス・その他)」、通称「鼻水の研究」。
当院での研究開始(2022年10月~)から1年を経過し、現在までのべ500名以上の大変多くの方にご参加をいただいております。
誠にありがとうございます。
9月29日~10月27日に当院で頂いた鼻汁検体の結果(全てPCR)は以下の通りです。
・【ライノ】 15名
・パレコ 3名
・アデノ 3名
・パラインフルエンザ2型 2名
・季節型コロナ 1名
・エンテロ 1名
・RS 1名
・【インフルエンザA型(H3N2)】 1名
・【インフルエンザA型(H1N1)】 1名
*ライノ・パレコ・エンテロ・パラインフルエンザ・季節型コロナなどのウィルスは通常の医療機関内では検査できない項目です。
*季節型コロナは2020年から流行した新型コロナとは異なる、それ以前から存在するコロナ感染症です。
【ライノウィルス】
前回から引き続き【ライノウィルス】が流行しています。
インフルエンザや新型コロナを検査をしても陰性であった場合、ライノの可能性もあるかと思われます。
ライノウィルスは、かぜを引き起こすウィルスの中で最も頻度が高いとされるウィルスです。
ライノ(Rhino)は「鼻」という語源があり、「鼻かぜウィルス」と言い換えることができます。
潜伏期間は2~4日、鼻閉・鼻汁・咽頭痛の症状がメインですが、30~40%の症例で咳と嗄声(声かれ)がみられます。
大人の方もかかりますが、小児の場合は中耳炎・副鼻腔炎や気管支炎・肺炎を合併しぜーぜーすることも非常に多いウィルスです。
通常ウィスル感染症には抗生剤は必要ありませんが、中耳炎・副鼻腔炎、気管支炎・肺炎などを合併した場合はウィルス+細菌の混合二次感染が考えられ抗生剤が必要になります。
【インフルエンザウィルス】
9月末からインフルエンザAの流行がみられています.
すでに9月と10月と2度、インフルエンザAに罹った方がいらっしゃいます。
今回の研究でもインフルエンザAの中でも、『H3N2』と『H1N1』と2つ型が確認されていますので、同じシーズンに同じインフルエンザAに2度罹ることがあります。
インフルエンザワクチンにはAが2つ(『H3N2』と『H1N1』)とBが2つの計4つの型が入っています。
ワクチンを接種してもインフルエンザに罹ってしまうことがありますが、脳炎や脳症などの重大な合併症を防ぐ効果はあると思います。
もしインフルエンザAに罹ったとしても2度目のAの感染や通常2~3月ごろに流行するBに対しては効果が期待できますので、一度罹った方も是非ワクチン接種をご検討ください。
個別の結果については、今後受診された際に直接ご報告させていただいておりますが、早急に結果をご確認されたい方はお電話にてお問い合わせください。
過去の研究結果報告